一般社団法人氷見青年会議所
2016年度 理事長所信
創立宣言文
今、世界の五極時代に対し我が日本はその一翼に参ずる現在、20世紀後半に果たすべき青年の今日の課題は新しく展くべき日本海時代そして列島改造の流れの中に、先人の築き上げた地域社会の歴史的文化と共に、清く美しく発展すべく、新しき氷見市の理想像を求め、青年経済人として自己修練と英知勇気を集結し、ここに氷見青年会議所を設立する。
昭和47年10月28日
【はじめに】
私たちを取り巻く情勢は、時代に沿ってゆるやかに、また時に大きく変動し、我々に変革を求める事があります。氷見青年会議所は1972年10月28日に氷見に誇りを持ち、ふるさとを愛する先輩諸兄により設立され、43年の年月を高い志をもって歩み続けてきました。設立時代の70年代には社会の秩序の確立、経済の発展を望み、信頼から結ぶ絆を確信し力強く活動し、80年代後半からは豊かな生活の実現を通じて、活力ある地域の創造と自由と公正の国家基盤の中、平和と繁栄に貢献し共生することを誓い、しなやかに活動して来られました。2000年代に入り、青年会議所は自立性と公共性の協和する時代を築くために行動しています。そして「現在」私たち氷見青年会議所は公益法人制度改革により一般社団法人として新たな組織の冠を選択し、地域のため、子供たちのため高い志を受け継ぎ歩み続けています。
「JCしかなかった時代」から「JCもある時代」と言われる現代社会において、「JCもある時代」という言葉はJCの先達の活動が形を成し、運動が広く波及したものだと受け捉えることが出来ます。さらに、その言葉の意味を考えると、現代社会の様々な団体が起ちあげられているこの時代の中でも、「JC」という団体は必ず意識されていることに繋がるものと私は考えます。現在も過去も「JC」という団体の存在意義の根幹は変わることはありません。だからこそ、各種団体が濫立するこの時勢の中、私たちは氷見青年会議所が目指す「明るい豊かな社会」の実現のため、力強くそしてしなやかに活動していく必要があります。
時代は日々変化しています。2015年には北陸新幹線や能越自動車道の全線開通や消費税率の税制改正といった経済政策による身のまわりの生活環境の変化が見受けられます。その時代の流れの歴史を振り返った際に感じる大きな変化とは「飽和の時代」の概念ではないでしょうか。個人差はありますが今の時代、当たり前のように与えられることが往往にしてあると思います。ただその事象は豊かな時代背景の象徴でもあるため、一概に良くないということではありません。しかし、人間は現状に満足すると退屈を覚えてしまいます。求めなければ成果は得られません。求めなければ自己の成長もありません。「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」その言葉が示すように私たちは次代の担い手として、大きな責任を自覚し、想い描く「ひみ」が笑顔溢れるまちとなるため、自己の成長に楽しさを求め活動していかなければなりません。
【 紡ぐ世代 】
「紡ぐ」とは、「綿(めん)や繭(まゆ)を錘(つむ)にかけて繊維を引き出し、縒(よ)りをかけて糸にする。」というように、一つ一つを丁寧に重ねて個の形を成すものです。この氷見青年会議所は時代を紡ぎ、様々な要素を織り交ぜながら今の時代の形を創り出してきました。私が入会をして、今に至るまでにも様々な経験をさせて頂きました。前を見ているばかりかと思えば、振り返ると次の世代が私たちの後ろを歩いていることに気付き、そこに気付いた時に、歴史が繋がっていることを改めて実感しました。「紡ぐ」ということは、それ一つでは成り立ちません。人と人が手を取り合うように、複数の要因が重なって織りなすものだと考えています。これからの氷見青年会議所が過去から未来へ、「現在」を紡いでいけるように、そして、気持ちを込めて丁寧に織られた布は、丈夫で美しく、数世代に渡って我々の眼を楽しませてくれる。そんな氷見青年会議所であるよう一人ひとりが楽しんで活動を共にしましょう。
【会員全員で取り組む拡大】
私たちが運動・活動を継続していくために、常に課題にあるものは会員拡大であると考えます。私たち青年会議所の活動が単年度制ということもあり、その長所から、その年に想い描く運動・活動を構築し、成果へと繋げ社会へ発信しています。しかしながら、単年度制の短所である継続に向けた活動が、会員減少に伴い、マイナス方向に作用している事も事実であると考えます。入会年度が浅いメンバーが大半を占める現在の氷見青年会議所において、会員拡大に対する意識はメンバー一人ひとりを見た場合、まだまだ意識共有がされていません。設立から45年が目前となり、その先の半世紀も視野に入ってきた今の時代に全員が現状を把握し、氷見青年会議所としての組織の発展と安定を考え、一丸となって最優先に、そして真摯に会員拡大に取り組む必要があります。そのためには、まずはメンバーが青年会議所活動を楽しみましょう。そして、互いに声を掛け合い、感情を言葉に変えましょう。40歳までの限られた時間の中、自分自身が氷見青年会議所に所属している意義と楽しさをメンバー同士が意識共有を図り、青年会議所運動に共感、賛同して貰える仲間を一人でも多く発掘して、メンバー一丸となり会員拡大に尽力しましょう。
【子供たちの笑顔のために】
昔から子供は親の鏡と言われています。普段の何気ない親の行動を子供が見て覚え習慣となっています。つまり子供たちの心の成長は、幼少期から青年期まで間に親と友達、人とどれだけのコミュニケーションを交わしたかによって、成長度合いが変わってきます。核家族化や少子化問題の進展によって人と接する機会が減少していく中で、近年の情報化社会の目まぐるしい進展により、10年前と今では処理しなければいけない情報量が約400倍の差があると言われています。インターネットが普及し、携帯電話の機能向上、SNS等のコミュニケーションツールの発達によって、親と子供、または子供たちの友達同士でのコミュニケーションが、SNSを使用して行う形に変化し、確立してきています。しかし、いつの時代も本当に大切なことは、見て聞いて触って体験することではないでしょうか。情報だけの知識と経験からの知識では、子供たちの成長にとって大きな差があると考えます。また、人と人とがふれあうことで、お互いに生活の中にある言葉「ありがとう」や「ごめんなさい」といった些細な言葉の意味を紡ぎあい、感謝の心や人を思いやる心が育まれます。私たちは次代を担う子供たちのために、何を行動し伝えなければいけないかを真摯に考え、知らなかったことを知る喜び、未知への好奇心から紡ぎ出す未来への希望があるように、子供たちの経験が培われる事業を行います。
【このまちの未来のために】
私たちの目指す「明るい豊かな社会」は活気が溢れ、人と人が言葉を紡ぎ、笑顔が絶えない「まち」だと考えます。伝統ある歴史を引き継ぐことの大切さを忘れることなく、そして、時代の変化に伴った新たな展望も模索し、地域の発展を願い運動を行っていかなければいけません。まちづくりはひとづくりという言葉を耳にします。「まち」というコミュニティーは、人と人が手を取り合い、地域社会の中に色濃く残っている人の絆を大切にし、糸を紡ぐように、世代から世代へと繋げていくものだと考えます。この地域でまちづくりに取り組むものとして、私たち青年会議所メンバーが率先して行動を起こさなければなりません。しかし、自らの行動に必要以上の負荷をかけ、自分達の活動に歪みが生じるようでは長く続きません。地域の人達との新たな支え合いの仕組みを構築するとともに、私たち一人ひとりが、自分に何が出来るのかを考え、行動する事が大切だと考えます。私たちの住む地域の課題は、氷見青年会議所メンバー一丸で取り組み、私たちのまち「ひみ」は私たちで守るという意識を持ち、自ら行動し、時には行政・地域の方々と協働して自助・共助・公助の意識を培い、次代に紡ぐ活動をしていきます。
【組織の絆】
設立より44年の月日を迎え、50年という大きな節目が見えてきた氷見青年会議所はより確固たる組織の絆を培い、その先を見据えた揺るぎない組織としての基盤を築く必要があります。時代が流れるにつれ、その歴史と伝統が薄れゆく不安に駆られる現代社会において「故」ふるきを「温」たずねて「新」あたらしきを「知」しる。私たちは変わりゆく時代の流れに沿い、紡がれた歴史を学び、引き継ぐべきは引き継ぎ、変革を求めることには挑戦すべき組織であると考えます。私たちの活動において不可避な会議運営をより円滑に行うためには、継続して定款・諸規程の見直しや、会務の整備をする必要があります。また、個の委員会運営だけでなく、確立した役割の中で、委員会同士が個を結びつけ、共に助け合う絆を培う取り組みを考えます。そして、これからの組織が円滑に且つ円熟に成長を遂げていくためには、私たちの最大の理解者でもある先輩諸兄との絆を深めることが必要不可欠です。先人たる諸先輩方との交流は今までの歴史の変化を間近で識ることができ見聞を広める良い機会となります。このように継続する事象を検証し更なる組織の絆を深めて活動を行っていきます。
【学ぶことへの欲求】
人が様々な経験を培い資質を磨くことは、個々の発想力が高まり、表現力が広がります。思慮深く発する言葉には、それぞれの想い描く「チカラ」があり、表現することで自己の自信となって、自らに還ってきます。私たち青年会議所メンバーが自己研鑽のために様々な経験を積んで、各々の資質を磨いていきましょう。活動を行うためには自己管理や時間の調整、また周囲の協力が必要となってきます。それは必ずしも容易なことではないかもしれません。しかし、そこで自分に限界を決めてしまっては、得ることが出来るものも得られないかもしれない。JCで学べることは自分が考える以上に多くあります。しかし、自分が求めなければ何も変わらないかもしれません。この時代の氷見青年会議所にいるメンバーと共に様々な経験を積み、それを次の世代へと繋げていきましょう。私たち青年会議所メンバーが自身の得た経験を相手に伝えるということは、発信源でもある私たち個人が、真摯に人と向き合い運動・活動を行っている証です。その運動・活動を広く伝えるためにも、表現することや伝えることの楽しさを理解し、発信源の軸となるものの基盤の充実を図り、伝える力を養い取り組む必要があります。メンバー一人ひとりが資質を磨くことで、私たちの運動はさらに広く波及し、個々の自信から、更に組織としての力が高まります。
【例会】
例会とは月に一度氷見青年会議所の全会員が一堂に会し、組織が目指すべき方向性を確認する場であります。その時節にメンバーが意識を共有してこれからの活動意識を高めることと、メンバー同士の信頼関係や友情を築く場であります。だからこそ一堂に会する機会にこれからの時代や仲間に対する想いなどを語り合う機会であっても良いのではないでしょうか。様々な経験をもとにメンバーが意識を共有するということは一つの大きな輪となり、変革をもたらす「チカラ」となります。2016年度は例会という概念に幾つかの角度からチャレンジを掛けていきたいと考えています。例会とは、何においても氷見青年会議所が活発に活動を行うべき場であり、委員会やそれぞれのメンバーのステージであると共に、私たちの方向性を表現して、想いを紡ぐ例会とします。
【結びに】
私は何事においても笑うことを忘れないようにしています。辛く大変な時間も永遠に続く訳でなく必ず転換期がやってくるものだと考えています。「笑う門には福来る」何気ない言葉ですが私にとって力を与えてくれる「言葉のチカラ」かもしれません。辛い時にほんの少し無理をして笑うと気持ちが上を向くような気になれます。それは家庭や仕事、青年会議所での活動においても変わることのない大切な気持ちです。自身の成長は様々なことを経験して得ることが出来ます。私は青年会議所としての活動を通じて多くの方々との御縁を頂くことが出来ました。それは互いに影響を与え、どのような時にも尊敬し笑いあえる大切な人へと変わっていきます。ほんの少しだけ自分から一歩前に進んでみて下さい。必ずあなたを必要としてくれる人は必ずいます。私たち青年会議所の運動・活動はその理想と信念を形にし、社会や地域の人達に伝えて明るい豊かな社会の実現のため、次代の明るい未来を築くため、強くしなやかに、一人の人として誇りを持って前に進みましょう。
2016年度理事長
澤武 亮 |